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img268a(オリジナル)🌟

「すみません、助けてほしいのですが」
私は通りすがりの若い男性に片言の英語で声をかけた。

相手の返事を待たないうちに、私は教会の入口にあるスクーターに駆け寄った。
スクーターはロックされていて持ち上げなくては動かすことが出来ない。
前輪側を抱えた私は男性に後輪側を持ってもらえるように目配せする。
事の顚末を理解しないまま男性は一緒にスクーターを持ち上げてくれた。
途中男性が「これはあなたのスクーター?」と声をかけてきたが、
私は「ノン」とだけ言いそのまま引きずっていく。
ふたりで力まかせにスクーターを20メートルほど先の場所まで引きずった。

やっとのことでスクーターを移動した後、彼に「ありがとう」とお礼を言った。
そして自分の三脚にのせた8×10のカメラを指差す。
ここまできて彼はようやく自分が何のためにスクーターを抱えさせられたのか
理解したようだった。
撮影したい画面にスクーターがあり、邪魔だったのだ。
私は頭をさげながら彼に微笑んだ。
男性もまた苦笑しながら、ひとこと「グッドラック」とその場から去っていった。


この写真を撮影する5分前、そんなことがあった。


そして撮影後、私はその場に立ち尽くしていた。

・・・スクーターをもとの位置にもどせるだろうか。




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