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夏の移ろい。蝉の鳴く声に氷の溶ける音。
時間とは無関係に止まり、また行き過ぎる。

2002年のスペイン映画『トーク・トゥ・ハー』。

物語の中で収監された男がキューバの話をするセリフがある。
「窓から身を乗りだし、時が過ぎるのを見つめるだけ。」
「何も訪れない。」
「あの女は僕そのものだ。」
無力感と余韻がまわりを包みこむ。男は自らの運命を悟ったように友人にこう呟く。

自分もハンガリーの田舎町で同じような情景に出会ったことがある。
その年配の女性は私がそこを通りかかる前から窓際で外を見つめていた。
一枚だけ写真を撮らせてもらった。
もの珍らしい東洋人がカメラを片手に通りかかるのを少し気にかけたようだが、わずかに微笑みかけたあとまた静かに遠くを見つめていた。

『トーク・トゥ・ハー』に登場するふたりの女性。
そこには生と死という舞台と共に「止まった時間」が重要な鍵として描かれている。

夏の窓は時間の扉なのかもしれない。



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