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ホテルに滞在するか、誰かの住まいに招待されないかぎり、
パリで建物の内側にある中庭を見ることは難しい。

ここはHôtel de Brancasという、1710年からある建物の中庭。
当時のディテールがどれほど残っているのかは知る由もないが、
パリにあってこの落ち着いた緑の空間を得られているのは価値がある。

建物そのものには当然そこに住んだ人の考え方や嗜好が反映されがちだが、
「中庭」という存在は、それとは異なるあゆみを感じさせてくれる。


扉を開けて6つの石段を降りる。
数百年の間、どれだけのひとがこの中庭へ降り立ったのだろうか。

主人であった侯爵、その家族、使用人、そして招かれた客人たち。

改修される機会も少ない中庭には、
何かそこに長い時の空気が沈殿しているかのようだ。



古い樹木に話しかける。
しばらくすると微かに枝を揺らし彼は応えてくれた。

「 きみは何処から来たんだ。
もう何年も庭師以外とは話をしていないが、
この老いぼれの木に話しかけてくるとは珍しい客人だ。

ここにいると街の様子はわからないが、
ひとの悲しみや喜びは手に取るようにわかる。

今は平和なのかもしれないが、以前のような
喜怒哀楽はなくなってしまった。
ひとはもっと感情をさらけ出したほうがいい。

いまは振り返らず、前に進むことだ。
時がきたら、またいつかこの場所を訪ねるといい。
その時きみは老人になっているかもしれないが。 」


古い樹木はそう言って、手を振るかわりに
枝の間から心地よい風をおくってくれた。


中庭には、おとぎ話がよく似合う。






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コメントありがとうございます

carmencさま

都会暮らしでは中庭というワードがなかなか身近に感じられませんね。
田舎で生活していた時は意識したことはなかったのですが。
映画で印象的なのは「ノッティングヒルの恋人」でしょうか。
「Before Sunset」も懐かしいですね、
会話がいかにもフランス人らしくて。





中庭には憧れます
子供の同級生の家に南仏風の中庭があって素敵でした
昔の事ですが世田谷辺りだったか中庭のある賃貸アパートが人気で順番待ちでした
ジュリー・デルビーの映画「Before Sunset」で主人公の住むアパートに中庭があって住民たちがお喋りしてたりして、やっぱりいいなあと思いました

2018/10/15(Mon) |URL|sulpice [edit]
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