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陶芸家 河井寛次郎 。
その半生、作品をここで紹介するつもりはない。
ただ彼の感じたこと、彼の考えたことを
彼自身の言葉で受けとってほしい。
そこにはものを創り出す
作家としての一念が感じとれる。



手考足思


私は木の中にいる石の中にいる 鉄や真鍮の中にもいる
人の中にもいる
一度も見た事のない私が沢山いる
始終こんな私は出してくれとせがむ
私はそれを掘り出したい 出してやりたい
私は今自分で作ろうが人が作ろうがそんな事はどうでもよい
新しかろうが古かろうが西で出来たものでも東で出来たものでも
そんな事はどうでもよい
すきなものの中には必ず私はいる
私は習慣から身をねじる 未だ見ぬ私が見たいから

私は私を形でしゃべる 土でしゃべる 火でしゃべる
木や石や鉄などでもしゃべる
形はじっとしている唄 飛んでいながらじっとしている鳥
そういう私をしゃべりたい
こんなおしゃべりがあなたに通ずるならば
それはそのままあなたのものだ
その時私はあなたに私の席をゆずる
あなたの中の私 私の中のあなた

私はどんなものの中にもいる
立ち止ってその声をきく
こんなものの中にもいたのか
あんなものの中にもいたのか

あなたは私のしたい事をしてくれた
あなたはあなたでありながら それでそのまま私であった
あなたのこさえたものを
私がしたと言ったならあなたは怒るかも知れぬ
でも私のしたい事をあなたではたされたのだから仕方がない

あなたは一体誰ですか
そういう私も誰でしょう
道ですれちがったあなたと私

あれはあれで あれ
これはこれで これ
言葉なんかはしぼりかす

あれは何ですか あれはあれです あなたのあれです
あれはこうだと言ったなら
それは私のものであなたのものではなくなる

過去が咲いている今
未来の蕾で一杯な今



「民藝」昭和38年12月号より引用




1966年、河井寛次郎は76歳でこの世を去った。
人間国宝にも推挙された彼はそれを受けることなく、
無位無冠の人としてその人生に幕をおろしている。



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