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パリ モンパルナス駅から線路沿いに少し歩いた場所。
そこにEglise Notre-Dame du Travail (労働の聖母教会)という
聞きなれない名前の教会がある。

鉄骨が張り巡らされた簡素な内装と地味な佇まいの教会だ。


古い教会内を見たあと、私は外の裏手にあるベンチに
しばらくの間座っていた。

ぼんやりとこの教会が建てられた頃を想像してみる。

1900年頃。
パリは万博で活気に満ちていたことだろう。
多くの建物が新築され、それに伴い大勢の労働者がかり出されたはずだ。
街の中心部に住む階級の高い人々は別にして、
低賃金の職人や労働者たちは、こうした線路沿いの地価の安い場所に
集まっていた。
そこには生活があり、苦難もあったはずだ。
この教会が求められた理由はそこにある。

ただここには裕福な寄進者など存在するはずもなく、
こうした体育館のような教会を建てるしかなかったのかもしれない。


ここへ通っていた人たちは何を祈っていたのだろうか。


働く。生きる。そして祈る。

ひとは何のために働くのか。
誰のために働くのか。
先に喜びはあるか。悲しみは消えるのか。
家族と故郷と与えられた僅かな恵みに感謝する。
そして祈る。


華やかなパリの側面には、
人知れずこうした慎ましい場所が隠れていることを
記憶に留めておきたいと想った。

大きな樹木が風に揺れていた。
やがてここにも春がくる。




※ノートルダム・デュ・トラヴァーユ(労働の聖母教会)
モンパルナス地区に定住した土木労働者や職人のために1902年に建てられた。





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