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それは魔女の囁きだろうか。
通過するひとや車の流れに、微かな笑みで誘いかける。


パリ16区 ロンシャン通り。

ここは教会ではない。
ましてや自らを懺悔する場所でもない。
それでも通りすがりの私たちに何かを咎めるかのように、
その婦人の彫刻は語りかけてくる。

アパート階上には普通に何人もが暮らしている。
はたして毎日此処を通りぬける住人はどんな気分なのだろうか。

しばらくすると、身なりの整った年配の紳士が扉から出てくる。
いつものことなのか、入口の彫刻など気にかける様子もない。


もしかしたらこの婦人の彫刻が話しかけているのは
限られたひとだけなのかも知れない、そんな気がした。
だとすると彫刻は自分にだけ語りかけているのか。

近寄ってじっくりと彫刻に視線をおくる。
アールヌーボー様式の草花が婦人を囲み、
表情は沈黙するかのように遠くを見据えている。



夕刻近く撮影を終えて、その日は足早にホテルへもどった。
帰り途中、地下鉄で婦人の顔が脳裏に浮かぶ。

建物に婦人が来て既に100年以上経っている。
これから先、変わることが無ければ数百年はあの場所で微笑んでいるかもしれない。

そう想うと、孤独な石の婦人にまた会いに行きたい気がした。




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ご訪問ありがとうございます

naoggioさま

建築の美しい装飾に興味がおありでしたら、
16区はおすすめです。
ぜひ機会がありましたらお出かけください。
コメントありがとうございました。




初コメ、でしたでしょうか?
いつもながら素敵なお写真と文章に感じ入ります。
こんな場所でしたらじっくり写真を撮りたくなるでしょうね。
窓の欄干のデザインもとても美しく婦人像を引き立ててくれていますね。

2017/07/11(Tue) |URL|sulpice [edit]

コメントありがとうございました

nachopapaさま

コメントありがとうございました。
柱を支える男性像はアトラスというそうです。
女性像のカリアテッドとともに、パリではいろんな場所で
見ることができますね。
nachopapaさんの若き日々と彫像が重なる、
少しほろ苦い素敵な思い出ですね。
またお立ち寄りください。






☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★☆☆☆☆★もう四半世紀前になりますが、 Ecole de la Chambre Syndicale de la Couture Parisienneというところに通っていました。
今はもう転居し違う所在地なのですが…当時はオペラ通りのmonoprixの裏(47 rue saint-Roch 75001 paris)にありました。

玄関の両脇に頭上に大きな二体の彫像と言いますか…柱がありまして入試をする時に「畏怖の念」に近いものを覚えたのを記憶しています。

今でもGoogleアースでみるとしっかりその彫像があって…それを見ると心だけあの心細い日々にタイムスリップしてしまいます。
そして同時に〝あの心細い日々〟の延長線上に本当に今があるのか?…どこかで途切れてしまったのではないか?思ったりもします…もっともそれは確かめのようもないのですけどね。

2017/07/11(Tue) |URL|sulpice [edit]
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