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Eva Cassidy


彼女が若くして亡くなったことを美化するつもりはない。
その演奏に耳を傾けるとき、スローな詞をかみしめるような歌声が
混沌とした現代を優しく包みこむ。



「枯葉」というとイヴ・モンタンやエディット・ピアフが取り上げられるが、
エヴァ・キャシディの「枯葉」には、彼女にしか表せない世界がある。


ひとりの女性が積み重なる落ち葉に自分を投影する想い。
暖炉に揺れる炎を見つめるように、
それは形作られることのない過去との会話を語りかけてくれる。



短い秋から冬へ。うつろう季節のなかで、
エヴァ・キャシディという一枚の落ち葉を
見つけてほしい。



※エヴァ・キャシディ
1963年米国生まれ、歌手、ギター奏者。
1996年11月、病いにより33歳にしてこの世を去る。





 【No.128】記憶  2017/11/20 (Mon)
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忘れられないことがある

また誰しもいつの間にか忘れていることがある

記憶には強さがあるのだろうか


数十年という限られた年月の間
どれだけの経験が忘れ去られたのか


形あるもの ないもの
ひとの命が絶えて残されるもの

消え去らないものには
生命の強さがあるのだろうか



足もとにある落ち葉の輝きは
生きる源を絶たれたのちも
最期の美しさを届けてくれている





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誰にとっても過ぎ去った若き時代というのは、気恥ずかしさが
あるような気がする。
希望に満ちた10代、そして社会と関わりをもった20代。

自分にも弱さと葛藤のなか、時間だけが経過する年月があった。



社会人になって間もない頃、お世話になった写真機材を扱った店の店主から
小さな1枚のモノクロコピーをもらった。
店主は「これはきっと役に立つから」とだけ言い、差し出してくれた。

そこには写真と簡単な文章がそえられていた。

写真は映画監督の黒澤明氏だった。
そしてこう記してある。


  みんな、
  自分が本当に好きなものを
  見つけてください
  自分にとって本当に大切なものを
  見つけるといい
  見つかったら、その大切なもののために
  努力しなさい


そのときは、良いことを言うな、
というくらいにしか感じられなかったが、
店主の心遣いに深々と頭を下げてその場を立ち去った。



そしてそんなエピソードから数十年が経った。

もう店主はいないかも知れない。
あの時、店主がどうして自分にコピーをくれたのかは
今でもわからない。
ただ小さなモノクロコピーは今も手元に残っている。



時折そのコピーを読み返しては自問する。

自分にとって本当に大切なものは見つけられたのか。
そして大切なもののために努力してきただろうか。


答えは自分の中にある。





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