back to TOP

admin |  RSS
 【No.120】風になる  2017/09/25 (Mon)
th_img060.jpg

駅には静けさという言葉がそぐわない。
静かだと感じていても、どこか遠くからひとの声や物音が響いている。


列車がまた一本、ホームへ到着する。

仕事や休日で移動するひと。
故郷へ帰るひと。
恋人や家族を待つひと。

それぞれの想いが、それぞれに散らばる。



駅には風が吹かない。

ひとが風になるから。





※ パリ オステルリッツ駅。1840年開業。
フランス南西部への道筋を繋ぐこの駅は
かつてはパリ・オルレアン鉄道の駅として
別名オルレアン駅とも呼ばれていた。
リモージュやボルドー、遠くはスペインへも、
この駅から列車が出る。
 【No.119】兆し  2017/09/20 (Wed)
th_□image1

それは何かが起ころうとする気配。
季節の変わり目にも似た、湿度の違う空気が漂う。

このわずかな陽の光が通り過ぎると、
向こう側には灰色の一団が待ち受けている。

動物が本能で居場所を変えるように、
そのかすかな兆しが自分の前を通過する。


無意味な想像が頭をよぎる。
君は今頃、どこにいるだろうか。
行きつけのカフェで読みかけの本を読んでいるだろうか。
それともこれから行く旅の支度をしているのだろうか。



樹木の生茂る中でひとり、自分はカメラと共に立ち尽くしていた。


何かが変わろうとしている。
そんな9月の一日が過ぎていく。





 【No.118】Delete  2017/09/12 (Tue)
th_□image1

もう処分しようとした古いデジタルカメラ。

旧式のメディアに何枚かの写真が残っていた。

ひとりの笑顔が蘇る。

感傷的な気持ちとラジオから流れる不釣合いな曲。


「削除」という簡単で重い言葉。

データは黒い画面となり瞬時に消え去る。



消し去ることのできない想い出が
胸のハードディスクに残る。





■th_image1


アート・ファーマー 1977年のアルバム。
「The Summer Knows」

学生時代に中古レコード店で買ったこのアルバムが気に入って、
くり返し何度も聴いていた。
ジャケットの帽子写真が、古いフランス映画の一場面のようで、
それも好きな理由のひとつだった。


もっと大人になったら、こんな帽子が似合う女性と恋愛ができるだろうか。
恥ずかしいが、その頃はそんなことも考えていた。


いろんな夢を抱いていた気がする。

そしていくつかの夢は叶い、いくつかの夢はまだ叶っていない。


おもいでの夏。
それは「夢の続き」なのかもしれない。





Template by :FRAZ