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 【No.59】川へ  2015/07/20 (Mon)
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川へ飛び込んだことはあるだろうか。

まだ小学生の頃、虫を捕まえに翻弄し川岸の草に止まっていた虫に手を伸ばした。大きな川だったので
「踏み出せば虫は捕まえられるが、川へ流されて死ぬかもしれない」
咄嗟にそう感じたことを覚えている。

さすがに大人になれば分別なしに川などには飛び込む理由はないが、よくテレビで野球ファンが優勝した興奮で飛び込む姿を見かけると、またやったかという冷めた視線を投げかける自分と、自分も何かにとらわれず思い切り飛び込んでみたいというもうひとりの自分がいることに気がつく。

自分でも不思議に思うが、川のもつ吸引力に導かれて人はしばしば川へ飛び込んでしまうのかもしれない。

立ちはだかる大きな流れが目の前にあるとき、その先にある岸辺へ渡ろうとする本能。

生死の迷いを海や河にたとえて、向こう側の岸は「彼岸」と呼ばれている。
たまに目を凝らして遠くを見つめているが、まだ自分に彼岸が見えないのは幸せなことかもしれない。



 【No.58】主計町  2015/07/04 (Sat)
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金沢では知られた浅野川沿いの茶屋街。主計町(かずえまち)という名前は、もともとあった名前が1970年に消え去り、1999年に復活したそうだ。そもそもこの名前は富田主計(とだかずえ)というこの地に屋敷を構えていた加賀藩士の名前がもとになっているという。

歴史の水面には表面には映らない深淵がある。
夕暮れの主計町を歩くと茶屋という文化こそ今では見えてこないが、残された建物にはしっとりと漂う大人の空気感がそこにある。

京都の祇園とは趣きが異なるが、金沢の街並みが最も違いを見せるのは街中にいくつも張り巡らせた水路、そして二本の川、ほど近く海へと続く「水」の文化が色濃く街中に溶け込んでいるからだという気がする。

主計町には鍋料理の老舗があるというが、いつの日か馴染みの数人で鍋を囲んだ後に川沿いを歩くのも風情があっていいだろう。季節は雪の散らつく冬がいい。
主計(しゅけい)とは会計をつかさどること。まずは懐を温めておくのが近道だろうか。



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