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女優、ドミニク・サンダ。
1969年に公開された映画「やさしい女」には当時17歳の彼女が映しだされている。それは時間を超えて言葉では表現できない愁いのある演技だった。

ドフトエフスキーの原作をもとに舞台をロシアからパリに移して制作された作品は、1986年に日本で公開されている。それ以降ほとんど上映されなかったというこの作品が、今回デジタル・リマスター版で劇場公開されている。

質屋を営む主人と客として通っていた若い女性の不確かな結婚生活。
果物のように繊細な心の葛藤と、男女のもつ磁力の違いが物語を覆っている。

妻を亡くした夫の懐疑的な語りが戻らない時間をふりかえる。
言葉を発することもなく、命を落としてベッドに横たわる主人公の横顔が、何にも増して美しさを漂わせていた。




 【No.56】Holidays  2015/04/05 (Sun)
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1972年、あさま山荘事件がテレビで流れ続けた年。
政局では田中内閣が発足し、今思えばそれは何か日本の大きな波の年だったのかもしれない。

ラジオからはミッシェル・ポルナレフの「愛の休日」が繰り返し流れていた。
カーリーヘアに白いサングラス、フランス人歌手。
昭和の揺れる空に、飛行機雲のように美しい高音の声が駆け抜ける。

そのころまだ自分は幼かったが、政治や文化の色めき立つ強い風に怖さを感じたのと同時に、人をひきつける何かも感じていた。


「愛の休日」の歌詞はこんなメッセージで終わる。


ホリデイ、おおホリデイ
これは空に住んでいる飛行機さ
だが忘れないで、とてもきれいな君
飛行機は壊れるものなんだ
そして地面は下にある
ホリデイ         ※「愛の休日」より


2015年にあらためてこの曲を聴くと、ベトナム戦争などがあった当時の背景とは時間軸こそ違うが、便利さに慣れすぎた今を遠くから見つめられている気がした。




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「ミスターロンリー」がラジオから流れ、城達也氏の声が聴こえる午前零時。

ひとり暮らしの学生時代、社会人になり遅く帰った夜、ふと深夜FMから流れる「ジェットストリーム」に何度癒されたことだろう。

特にエンディングの 
「夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは
遠ざかるにつれ次第に星のまたたきと区別がつかなくなります」
というナレーションは、幾度聴いても心に響いた。

1994年12月、最後の番組。
27年間続いた放送を終えた翌年に城氏は他界した。

すでに20年という年月が過ぎ去ったが、いまもラジオから遠い日の記憶が蘇る。
自身が星のまたたきとなった午前零時の紳士に、リスナーとして感謝したい。




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