back to TOP

admin |  RSS
▲⭐️img246

鏡に向かい自画像を描く。
それは自分に見える外面だけでなく、内面も見なければ絵にならない。ただ意図せずに内面が出てしまうのが自画像の面白さでもある。

ミュンヘンにある国立美術館アルテ・ピナコテーク。
印刷でしか見た事のないその絵に出会った時、絵というより画家その人に出会ったような気がしたのを覚えている。
1500年、アルブレヒト・デューラーが描いた自画像は時をこえて作家のメッセージが響く1枚だ。

正面を向いた構図からはキリストの陰影が映しだされる。
自分の肖像に他の像を重ねることでもう一人の自分を描く。それは自分の単なる変身願望ではなく、表現することそのものへの挑戦だったのかもしれない。

まだ写真や、ましてや写真加工など全くなかった時代に、複雑な心境の変化を一枚の絵に込めようとしたデューラーの想い。
500年が過ぎた今、残された作品が見るものの心境を揺さぶっていることなど作家自身予期していなかったことだろう。

ミュンヘンで出会った一人の画家は、その瞳の奥に輝く言葉を携えていた。

今から更に500年後の世界。デューラーは誰と会話しているのだろうか。




 【No.44】LEICA M5  2014/11/08 (Sat)

▲⭐️img330

南仏の旅先でM5を石畳に落とした。見事に底蓋の一部がへこんだ。ついにやってしまったと諦めた直後に、何とか直せないものかと考えあぐねた。
底蓋を一度ボディから外して、金属質なもので内側から叩きつけて、一応の処置を試みた。元通りとはいかないが、見た目には妥協出来る範囲に仕上がる。

まあ仕方のないことだ、実用には問題はないと自分に言い聞かせて20年近く経ってしまった。不思議なもので、こうした経験を積んだことでカメラへの愛情が増したような気がする。

ライカの中では異質なM5だが、何年も迷った後に初めて買ったライカがこのM5だった。角のとれた四角い箱が手に馴染む。
スローシャッターの際のフィット感、武骨だけれど正直で裏切らない性格は、私にとって唯一無二の愛機である。
35mmで最期まで手放すことのない1台といえば、このカメラだろう。

このところデジタルカメラの影に隠れているが、ずっと側にいて出番を待ってくれている。


Template by :FRAZ