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アコースティックギターを一度手にしたことのある人なら「マーティン」というメーカーを知っているかと思う。

故郷ドイツから海を渡ったマーティン一家が新天地アメリカ・ニューヨークへ渡り小さな楽器店をひらく。1833年の9月だ。
180年という年月のなかマーティンというブランドは形のある楽器と形のない音に魂を与え続けてきた。幾多の音楽家がそのブランドに魅了されてきたのは言うまでもない。

30代後半になったある日、ふと思い立ってお茶の水の楽器店へ行き、マーティンの音色を聴いてしまった。この聴いてしまったのが後戻り出来ない結果となる。

マーティンにもいろんなモデルがありそれぞれ音色が違うのだが、その日たまたま出会った中高音が美しい小ぶりなモデルに一目惚れしてしまった。どうしても想いが断ち切れず、結局我が家へ連れて帰ることになる。

MARTIN OO-16 DBR WOMEN AND MUSIC MODELという1998年のリミテッドエディションで、サウンドホールには寄せ木細工が施されている。ローズウッドから共鳴する透明感のある美しい高音が伸びやかに響くギターだ。

楽器はそのモデルや価格帯によって明らかに音色が違うが、同じモデルでもその個体によって鳴りや響き方に大差がある。だからこそ一台の楽器との出会いが運命的なのだと思う。

音を出していない年月が大分経っているのでギターには申し訳ない気持ちでいっぱいだが、また調整をして2014年の空気に音を解き放ってみたい気がしている。



 【No.19】王の夢  2014/04/11 (Fri)
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ドイツ南部のフュッセンという小さな町。

小高い山の上にある白亜の城から低い雲の下に望めるのは、王自身が育った蜂蜜色の小さな城だ。
その向こうにはかすかに湖面が映っている。

バイエルンという小国にあり民衆とは隔絶した山の頂きに残された城、ノイシュヴァンシュタイン城から見降ろす風景はルードヴィヒ2世が過去を見つめるためのものだったのだろうか。

城を築くことに執着しワーグナーに心酔、政治という自らの権威にも背を向けた日々。
ルードヴィヒ2世の心境は狂気といえる域に達する。

夢を見ていたのか、夢を見たまま死にたかったのか。

事実、1886年ルードヴィヒ2世はノイシュヴァンシュタイン城から見える湖に身を投じて命を絶っている。


生前、自身が死んだら城を壊すよう命じていたらしいが、奇しくも城は万人に開城され潰えた王の夢は残された城に永遠に閉じ込められることになる。


私達がそこに見るのは、悲劇の舞台だけだろうか。
そこにあるのは全てのものから守られ夢を見続けられる母胎のような気がしてならない。







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アイルランド、そしてアメリカが舞台の実話をもとにした映画である。

引き離された母と子、クリスチャンである女性と正義を貫こうとする男性、ふたつの国とふたりの目的。
物語は細い一本の糸をたぐり寄せるように綴られる。
そしてその糸の端は意外な結末へと導かれることになる・・・。

この映画で印象に残るのは、寛容な姿勢と意志のバランスだ。
いくつかのシーンでこのバランスが問われるが、そのたびに主人公は見事に自分としての判断を下している。

ひとりの生命が背負う時間は決して永くはない。
遠からず自分達もいつの日か死を見つめて家族を想い、何処か精神的な糸口を求めるのかも知れない。

ラストに描かれる雪景色のアイルランドがとりわけ美しい。



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