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ジョン・コルトレーンの「SOULTRANE」というアルバムの5曲目に入っている曲が「Russian Lullaby(ロシアの子守唄)」だ。


この曲を学生時代に初めて聞いた時、大陸を駆け抜ける長距離列車の姿を思い浮かべた。気にいって何度も繰り返し聴いていた記憶がある。

大平原を、森を駆け抜けるコルトレーンのテナーサックス。
まだ見ぬ土地の果てしない風景が脳裏をかすめた。
もちろんそのほかのスローバラードやレッド・ガーランドが弾くピアノメロディも十分に魅力的で印象に残る。あえて言うなら5曲の中でこの曲だけが異色だが、自分にはこの曲が入っていることがこのアルバムの魅力だった。

今になって改めて聴くと、その頃の自分が投影されて懐かしい。


ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。1958年6月録音。




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エルメス本店。根強いブランド志向の波で日本からの観光客も後を絶たない。
馬具製品から始まり、今では香水からファッションにいたるまで幅広いラインナップで高級ブランドの一役を担っているパリの老舗だ。

クリスマスで賑わう夕暮れ時に店の前を通り過ぎると、目の前に不思議な光景が現れた。シャボン玉である。

はじめは近くで何処かの子供が吹いているのかと思った。
しかし、その数は徐々に増えて空から舞い降りてくる。
空を見上げて初めてそのシャボン玉が何処から降っているのかがわかった。
エルメス本店の上階である。
それはエルメスのなんとも心憎い演出だった。


エルメスでは買い物をしたことがないが、夢も売っているんだとその時感じた。



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ハンガリーには海がない。
ハンガリーにとっての海はバラトン湖だ。
大きさは琵琶湖にはおよばないが中央ヨーロッパ最大の湖である。
夏には国内の各地から家族連れが避暑に訪れる。


湖岸にあるバラトンフュレドで予約したホテルに入った。
当時は手紙でホテルを予約して訪れたことが懐かしい。
予約していたのは地元の小さなホテルで、ハンガリー語のほかドイツ語が少し通じるだけだった。
一旦予約はされていないと断わられたが、手紙があるはずだ探してほしいと片言で伝えたところ、見慣れない東洋人からの手紙がフロントデスクから出てきた。
何とも喜劇のような一幕だったが、数ヶ月前に自筆で書いた手紙を遠いハンガリーの田舎町で発見した時には何故か感動した。


翌日対岸の街シオフォクまでフェリーに乗って湖を渡る。
数キロしかない短い船旅だ。
途中ティハニという美しい半島が遠方に広がる。

船上でぼんやりと時間軸の違う東京のことを考えていた。



1993年、逆光に照らされたまばゆい水面を見ながら、静かなひと夏が過ぎていった。





 【No.10】龍安寺  2014/02/11 (Tue)
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冬の京都は幾分観光客も少ないようだが、それでもいくつかの寺や神社には多くの人達が足を運んでいる。

禅寺の龍安寺もそのひとつだ。まわりの庭から隔絶された石庭。冬は背景の無彩色な空と土塀の複雑に変化した自然色、白砂が美しいコントラストを映し出す。

幅22m、奥行10mの庭に15個の石が配置された枯山水。
室町時代の作庭は作者不明だが、それがまたこの庭の全貌を見せない魅力となっている。



 【No.9】ハウス  2014/02/08 (Sat)
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「ハウス」立川にかつてあった通称・米軍ハウスをこう呼んでいた。

私には大学時代の3年半をハウスで暮らした経験がある。
見た目に古い平屋で、バス・トイレがありリビングのほかに2部屋、全てが板貼りだった。
冬は凍えるほど寒く、夏はどうしようもなく暑い。もちろんクーラーなどは無かった。それでもその十分な広さは、美大生の自分にとってはありがたかった。
ピンク色の外壁にありし日のアメリカを感じた。

私が住んでいた頃には既に基地はなくなっていたが、跡地としての広大な土地にはまだフェンスを張り巡らしていた。それは飛行場という普段の生活とはかけ離れたスケールと「フェンスの向こうのアメリカ」の証しだ。


ハウスは袋小路の区画の中に8棟、少し離れた区画にも数棟があり、自分と同じ美大生やかつて基地に勤めていたアメリカ人の姿もあった。

その頃の自分はというと大学も休みがちで、決して勤勉とはいえない毎日をおくっていた。買ったばかりのカメラで基地跡地の周辺を夢中で撮っていたのもその頃だった。


30年が過ぎた2012年のある日、私は自分が住んでいたハウスの場所に立っていた。

そこはマンションの駐車場になっていた。
もどらないはずの時間にタイムスリップする。
胸を締めつける感慨が湧きあがる。

5分くらいはその場にいただろうか。
私は・・・ゆっくりとその場をあとにした。


帰り途、暑い夏にハウスでよく聴いていたボサノヴァの曲を想い出した。



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