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ジュリー・アンドリュースが出演した映画「メリーポピンズ」。そのなかに出てくる長い魔法の呪文がある。


“スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドゥーシャス”


呪文だから意味はわからないが、こどもの頃に暗記したこの言葉を今も忘れないでいるというのは、魔法だからだろうか。



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10年以上前に見た記憶があるこの映画を先日DVDで久々に見た。1948年の映画である。

ニューヨークに住む売れない画家。
目の前に突然現れた少女が、わずかな年月でおとなの美しい女性に変貌する。
既にこの世にはいないその女性は画家の幻想として度々現れる。
そして画家はその女性をモデルに一枚の絵を描く・・・。

モノクロームで映し出される何とも不思議な雰囲気の物語だが、主人公の画家がカンバスに向かい、その前でモデルになるジェニーが静かにポーズをとるシーンが印象的だ。

小磯良平氏が描いた絵に共通する清楚な空気感。
凛とした女性の姿は優しい光に包まれている。
そしてこの肖像画が、消えて失われる存在とは対象的に永く残されることになる。


どんな絵画にも物語が隠されているように、無言のままこの絵は私達に語りかける。



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ブールデル美術館はパリのモンパルナス駅にほど近い一画にある。


彫刻家アントワーヌ・ブールデル。
ロダンと同時代に生きたフランスの彫刻家だ。

その名前を知らない人もいるかもしれないが男が力強く片ひざをつき弓をひいている「弓を引くヘラクレス」の作者といえば思いうかべる人も多いだろう。

美術館は作家の住まいとアトリエだった場所に建てられている。
アトリエは奥まった位置の庭に面した場所にあり、ブールデル自身が制作していた当時のまま残されている。
一見、時代をさかのぼって迷い込んだ雰囲気に包まれる。

雑然としたアトリエには、作家特有の力強い作品とは異なる愁い顔の女性像も置かれていた。その少し暗がりの中に安置された作品に何故か心を動かされるのは、アトリエに満たされた空気感と作品の放つリアリティに起因しているからだろうか。


もしモンパルナスへ行った折には、ぜひこの1900年代初期の空間を訪れてもらいたい。


そこには偉大な彫刻家の強さと優しさが刻まれている。



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ルーブル美術館には2点のフェルメール作品がある。
しかも日本での行列が嘘のように間近でゆったりと鑑賞できる。


「天文学者」と「レースを編む女」。
モナリザ人気の影にひっそりと隠れているかのようにリシュリュー翼のオランダ絵画群に交じっている。

「レースを編む女」は20センチ前後の小さな作品。
フェルメール作品ではお馴染みの窓を取り入れた内観構図ではなく、レース糸とそれを編む女性の一場面を切り取った構図だ。
手前に下がる繊細な赤と白の糸が画面全体にアクセントを添えている。
スクエアな年代を感じさせる額縁も絵と一体化していて美しい。


この小さな宝石のような作品に出会うためにまたルーブルへ行きたくなる。




 【No.4】雨  2014/01/08 (Wed)
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パリの雨は気まぐれだ。

朝のどんよりとした空模様に今日は一日雨かと諦めていると、昼前から思いがけなく太陽が顔を出す。

雨上がりの瞬間、路に輝く石畳の光が美しい。普段なんでもない風景が、突然素晴らしい被写体に変貌する。

そんな一日を経験すると、雨も愛おしくなる。



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ローライフレックス80mm2.8fをパリで買ったときの印象は今でも忘れていない。


すでに十数年が経っているが、それまで持っていたローライの初期モデルとは違う重厚感、カメラとしての存在感を80mm2.8fに感じた。
同時に買ったプリズムファインダーもその武骨なまでの重量と丸型のデザインに圧倒された。
何かこれまでとは違う写真が撮れるような気分を十分に満たしてくれたのである。

カメラを買ったバスティーユ近く「オデオンフォト」の対応も良かった。
中古としては高額だったこともあるが、応対してくれた老紳士がとても親切だった。こうしたモノを買った時の状況は、印象として記憶に永く残るので重要な気がする。

その後何年か経ち、顔馴染みだった銀座のカメラ店でカメラを見てもらうと、ピント部分に多少ズレがあるということで修理をしてもらった。

それからは箱入り娘のように大切にしすぎているせいか、実際の撮影になるとなかなか出番がない。やはりその重さに躊躇していることも本音としてある。

だが「飾る」だけでは、このカメラの魅力は引き出せない。
カメラに付随するプラナー80mmは、被写体を包み込むような表現と標準に近い画角の素晴らしい固定レンズだ。


静かに佇んでいるこのカメラを見ていると、もっとこのカメラの価値を引き上げなくてはと感じているこの頃である。





 【No.2】Nikon FE2  2014/01/06 (Mon)
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大学生であった自分がはじめて手にしたカメラは、ニコンのFE2だった。
今はもう手元にはない。

その有り余る機能は初心者だった自分にとっては十分なものだった。

時間が経つにつれ少しづつ自分のカメラとして使いこなせるようになっていったが、振り返るとそれまでの長い時間こそが大切な時間だった気がする。
カメラを操作する技術はもちろんだが、写真を撮る「情熱」こそが重要な事だとその時学んだ。

その後FE2は、別のカメラが欲しくなりやむなく手放してしまったのだが、今となっては中古カメラ店で同じ機種を見つけると、何故だか昔好きだった女性に再会したような気恥かしい気持ちになる。




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パリは東京の山手線ほどの広さしかない。

変わらないと言われるパリだが、その境界に近い周辺では確実に今も日々変化を遂げてる。

数年前まで美しい路地の背景にあった木立が、いつの間にか近代アパートに姿を変えてしまった。残念な気持ちもあるが、それもまた生きているパリがそこにあるということなのかもしれない。

メトロを乗り継ぎ、重い機材を抱えてパリを撮影する旅をあと何年続けられるだろうか。

ただ、悲観的な想いばかりではない。
最近では雨の日に8×10カメラのカートを引きずり、撮影場所で天候が変わるのをひたすら待つ時間も悪くないと感じている。



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