back to TOP

admin |  RSS
th_IMG_4396.jpg

ポンピドゥーセンターに隣接した目立たない場所に小さな建物がある。
そしてそこには、ひとりの彫刻家がかつて使っていたアトリエが
再現されている。

彫刻家 コンスタンティン・ブランクーシ。
ルーマニア出身の20世紀を生きた彫刻家だ。

一切の虚飾を捨て去り、一体のフォルムに凝縮させた彫刻。
その研ぎ澄まされた感覚で刻まれた抽象作品は、
私たちに多くのメッセージを投げかけてくれる。


若き日の彼はロダン工房に一旦身をおくものの
「大樹の陰では何も育たない」という考えから、
すぐに独自の道を歩むことを選んだ。



ほんとうに現実的なものは、
事物の外から見えるかたちではなく、
そのなかにひそむ本質である。
この真理を出発点とするかぎり、
もはや事実の表面だけを真似ることで
現実を表現することなど、
誰にとっても不可能なことである。

-コンスタンティン・ブランクーシ-



もののなかにひそむ本質。

アトリエに残る数多くの作品には
その答えが散りばめられている。

そしてそれらの作品が放つ音階は、
いつまでも私たちの中に響き続ける。



※コンスタンティン・ブランクーシ
(Constantin Brâncuşi, 1876年2月19日 - 1957年3月16日)





 【No.177】Odéon  2018/09/21 (Fri)
th_IMG_3180.jpg


夕暮れのパリ オデオン座。

「オデオン座」というのは通称で
名称はOdéon Théâtre de l'Europeという。

1782年に竣工された際にはマリー・アントワネットが訪れ、
当時は「フランス座」と呼ばれていた。


その後、長い歴史の中でこの劇場は何度も名前を変えられた。

ただ駅名でも使われている「オデオン」という名前に
愛着を感じるのは自分だけではないと思う。

オデオンという名前は日本でも各地の劇場で使用され、
映画館として馴染みがあるひとも多いはずだ。



暮れなずむパリの街に、ほのかに灯をともすオデオン座。

やがて新しい時代となり、また新たな名前に変わろうとも、
この灯だけは絶えることがないように祈りたい。





th_IMG_5180.jpg


「お母さん、これテレビで見たことあるよ」
「でももっと大きくて、確かアメリカにあったと思うけど」

「そうだね、でもこっちが本物だよ」
「でかけりゃいいってもんじゃないんだよ」



訪れた親子が、そんな会話をしていたかどうかはわからない。
母親は何か諭すように子どもに話しかけていた。



-パリ リュクサンブール公園でのひとコマ-





※ニューヨークの「自由の女神像」は1886年、アメリカ合衆国の独立100周年を記念して
フランス人の募金によって贈呈された。
そのもととなったのが、フレデリック・オーギュスト・バルトルディ作のこの像である。




th_186B6232-84C4-4EEC-A3EB-24B53FD21716.jpg


物語の始まりは自然なほうがいい
出来たらひとも登場しなくていい

音もかすかに聞こえる程度で
絹の雲が移ろう空

一夜が明け澄みきった空気に
常温の水のような感触の朝


そんな朝を描けたら
物語の始まりとして理想的だ





th_IMG_4486.jpg


「世界で一番美しい街はどこだい?」
王妃は並べられた銀器に問いかけた。

「はい、それは白雪姫の住むパリです。」


とでも言いたくなるような磨かれた銀器のディスプレイ。


いつも思ってしまうのは、こうした銀器は
その輝きを保つために美しく磨かれていることが大切だ。
それには維持してくれる使用人を雇えるひとが持つべき
品々ともいえる。


次に生まれてくるときには、果たしてこうした
銀器が自分の食卓にあるだろうか。

銀器に問いかけてみようか。




th_IMG_4780.jpg


もしあなたがパリへ行く機会があり
数時間の余裕があるのなら
Victor Hugo通りの「ボワシエ」を訪ねてみてほしい

1827年 Bélissaire Boissierによって
創業されたパティスリーメゾンである


伝統的な絵柄やテーマカラーであるシアンブルー
美しい化粧品のようなパッケージに入れられた
砂糖菓子やショコラそしてマロングラッセは
この店の歴史とともに愛され続けた逸品だ

季節に実った果実と無色透明な砂糖の結晶が
パティシエによって見事にアレンジされ
口の中で華やかなアンサンブルが響きわたる


数十グラムにこめられた甘い夢


そんなひとときの幸せも時には必要だ





th_IMG_4277.jpg


新聞紙の片隅に載っていた同姓同名のひと。
そこには確かに同じ名前が記されていた。

内容から直ぐに別人だとわかったが
一瞬の心の動揺がいつまでも消えなかった。


いま、何処で何をしているのか。
数十年前のあの頃が思い浮かぶ。

「あなたはいつもそう、もう少し周りを気にして歩けないの。」

よくそんなことを言われていた。

普段はジーンズ姿の彼女が、ふたりで映画を観たとき、
水色のワンピースを着ていたのを覚えている。


6月。 道端でムクゲの花が風に揺れていた。





th_IMG_4199.jpg

「香水はキスしてほしいところにつけるもの」
そう言ったのはガブリエル・シャネル。

この見えない装飾品に、あなたはどれだけ価値を
見いだせるだろうか。

一般的な1/2オンス (15ml)の香水で
ブランドにもよるが数万円という価格である。
決して安いとはいえない。


歴史をたどるとエジプト文明の昔から
香水は存在していたという。
用途は今とは違っていたはずだが、
古代から使われていたということが意味深い。

私たちが現在目にする、アルコールをベースにした香水は
ハンガリー王女エリザベートがはじめて作ったとされている。



香水を纏うという言葉にもあるように
それは女性が身につけるベールのようにも思える。

目に見えないベール。


紫陽花の咲く季節。
風が運んだ個性的な香りに偶然出逢えたら、
素敵かもしれない。




 【No.159】秘密  2018/05/23 (Wed)
th_IMG_4677.jpg


こころにしまい言葉にださない

そうしたほうがよいこともある

それがどうしても辛いときは

花にそっとうちあける

花はそのことを誰にも告げず

細い茎にしまいこむ

花が実をむすぶころには

風に運ばれ消えていく





th_IMG_4679.jpg


レイモン・ペイネといえばメルヘン。
その絵には愛に包まれた恋人たちが登場する。

とかく苦しい環境や不幸な出来事が絵の題材として
取り上げられやすいものだが、ペイネの絵には
それらを乗り越えた先にある「幸せ」が
軽いタッチで描かれている。

「自分たち夫妻が、ペイネの恋人たちのモデルである」
そう語ったペイネ。


1999年逝去。90歳という年月は、
彼にとって幸せなことばかりではなかったことだろう。


いつの日も悲惨なニュースを目にする度に
心を癒してくれるペイネの温かな眼差し。

それは天使のように偶然舞い降りる。




※Raymond Jean Peynet 1908年11月- 1999年1月)
フランスのイラストレーター、漫画家。




Template by :FRAZ