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1970年
フランシス・レイのテーマ曲とともに
ライアン・オニールとアリ・マッグローが
出演した映画「ある愛の詩」


雪原で肩を寄せ合い歩くふたりの姿と
アリ・マッグロー演じるジェニーが
被っていた赤い帽子が印象的だった


Love means never having to say you're sorry.
愛とは決して後悔しないこと

という名台詞が語り継がれる



後悔しない愛
誰もがそう心に誓いながら
人は弱さを抱え生きている

この映画と同年
ビートルズが解散をした

何かを「失うこと」で
自分を見つめ直す時代だったのかもしれない





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勝つこともあれば負けることもあるのがスポーツ

どちらになっても自分を持っていられるように
やりたいスケートを常に表現し続けられたら


千分の1秒を争うスピードスケート
連勝が途絶えた後
そうコメントした女性アスリート


その清々しさと
表現するひととしての美しさに感動した

彼女のスケートには誰にもまして
「心の美と誇り」がある気がしてならない





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あなたのおもうようにしましょう

みじかいいのちをいきるのだから

あなたのぬくもりをわすれぬよう

ふゆのあさにくちづけをして




 【No.194】Au printemps  2019/02/01 (Fri)
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こころにあいた小さな隙間を

夢中で埋めようとしていた頃

あの日あの頃の自分

風が春に向かって通りすぎた






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1月が過ぎていく
12分の1が心の中でカウントされる

これからどんな光景が待っているのか
未だ見ぬものとの出会いはあるだろうか


先日 SNSで紹介されていた動画で
木星の周りを回る衛星の名前を知った

IO(イオ)、EUROPA(エウロパ)、GANYMEDE(ガニメデ)
というギリシャ神話の登場人物から命名された3つの衛星だ
何とも素敵な名前である

衛星が発見された年をきいて驚いた
1610年1月
ガレリオ・ガリレイによって発見されている

日本では豊臣から徳川へと世が移ろうとしていた時代
中世のイタリアではガレリオが星と格闘していたのだ


400年以上前の同じ1月
果たしてガレリオには
どんな宇宙が見えていたのだろうか

木星の第1衛星 IOは
今日もゆっくりとその軌道を描いている





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それはいつだったろうか

長いソバージュの髪形をして
紺色の服がよく似合っていた

興味のある記事を
本屋で長い時間読んでいた

気に入りの髪どめをして
ときには映画にも行った

側にいるだけで心が和んだ


きみがいない時間は途方もないが
いまは自然を受け入れようと思う
吹く風を待とうと思う

風を吹かせることは出来ないけれど
どんなときに風が吹くかは学んだ気がする


ときおり想いかえす
きみにであったころ




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狩人が昨年仕留めた獲物は決して多くは無かった

今年は周りの人に自慢出来るよう多くの獲物を捕らえよう

新しき年にふと心をよぎった


だが狩人は直ぐに希望を打ち消した

自分の狩に自慢など必要ない

天から与えられた命あるものを狩る

必要に足る獲物をわずかに分け与えてもらう

狩猟とはそういうものだ

そしてそういう生き方を今年もしよう


狩人は天を仰ぎこころに誓った





 【No.190】love ¨  2018/12/27 (Thu)
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True love begins when nothing is looked for in return.
ー Antoine Marie Jean-Baptiste Roger de Saint-Exupéry ー

ここにも素敵な一年が訪れますように





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Square Bolivar.


坂の石畳に靴音が響く。

何処か遠くから話し声が聞こえる。

しばらくたつと、また静けさがもどる。

パリの深夜は、こんな時間が繰り返される。


エリック・サティのジムノペディを聴く。

3/4拍子に包まれて、長い夜に浸る。




※「ジムノペディ」が作られたのは1888年。
翌年にはパリに話題のモニュメント、エッフェル塔が登場している。
世紀末にむけて、多くの作家が新しい表現を求め錯綜していた。







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夫婦の会話というのは
いつの日もぎこちない

恋愛の駆け引きや
探り合いも消えて

そこにあるのは緊張感のない間と
ぼんやりとした安心感だ

まして長い年月を過ぎると
相手がもうひとりの自分にも見える



柔らかな日差しのなか
出会った頃に戻り話しかけてみる

そこには気づかなかった
もうひとりの相手がいるかもしれない





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パリの南、アルレ広場にほど近い場所。
この一帯にも再開発の波がゆっくりと近づいている。

やがて目の前にある建物も姿を消す日がくるだろう。
建て替えられる建物と広がる空き地。

その狭間で100年以上前に建てられた建物が、
わずかな息遣いを潜めて佇んでいる。



イアホンからFly Me to the Moonが流れる。

遠い日本で、あなたはもう疲れて眠っているかもしれない。
かすかな寝息をたて、どんな夢をみているのか。


風が口笛を吹きながら、街を走りぬけていく。





 【No.186】冬の陽  2018/11/27 (Tue)
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どの季節が好きかという問いに
あなたは何と答えるだろうか

短い春や秋に美しさを感じるのは誰しも同じだが
夏と冬の好みは人それぞれ違う気もする

冬の陽射しは短く日中動ける時間も少ないが
その長く伸びた斜光に愁いを感じる瞬間がある



少し痩せた背の高い女性が
ベンチの端に座っていた
髪はショートで灰色のコートを着ている
女優かモデルのようにも見えた
展覧会のリーフレットを見つめながら
物憂げな表情だった


数分後
待ち合わせだったのか
老紳士が声をかけてきて
女性は席をあとにした


そのベンチにはしばらく誰も座らなかったが
何故か一枚だけ女性の余韻を撮っておきたかった


冬の陽が優しく午後のひとときをつつんでいた





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夜が明けたばかりの広場

数時間前までいた学生たちの歓声が
洗い流されるように水が放たれる


研究に没頭したキュリー夫人
恋を物語りに綴ったフランソワーズ・サガン
映像の先にあるものを追いかけたジャン・リュック・ゴダール

若き日の誓いを胸に刻んだカルチェラタンは
このサン・ミッシェル広場からはじまる




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カフェで寛ぐわずかな時間
なにごともなく一日が終わろうとしている

昨日と同じ日のような気もするが
何かが違う一日でもあった


数メートルさきで恋人たちが小声で話し込んでいる
家路につくまえに交わす僅かな温もり

ここへ来る前 道端の花屋で珍しい色の薔薇を見かけた
帰り際にもう一度のぞいてみようか



珈琲を飲み終えるまでの数分

冷えた水と自分との会話

今日という一日に





 【No.183】恋  2018/11/08 (Thu)
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あなたがいたら
もうなにもいらない
そんな恋が
誰でも一度はある

胸をしめつける想いは
やがて燃えつき消えていく

実る恋
実らなかった恋

新たな種子が落ちると
空はいつの日か
優しく雨で地面に合図する

いくつかの恋が
今日も何処かで芽生えている




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いつか自分が撮っている被写体になれたら
こちらではなくあちら側だったらとふと想う

カメラをおいて街を歩く
そんな時間が必要かもしれない


ときには自分のペースではなく
愛犬を連れて歩くのもいい

自分の行きたい方向と愛犬の行きたい方向
その違いがまた楽しいはずだ


昨日読んだ本
今朝食べたクロワッサン
指先が記憶しているパスワード
すべてを一度リセットする


日常から遠く離れて





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その劇場はLa Chapelle駅からほど近い場所にあった。


「それにしても古い劇場ね」

「ナポレオン3世の時代にできたらしいよ。
パリにはもっと歴史が古い劇場があるけど、
現代風に綺麗に改修されてるからね。
それに比べてここは廃墟一歩手前の感じがする」

「何か演奏を聴きにきたというより、劇場を見にきた感じね。
タイムスリップでもした気分。
随分街の中心からも離れてるし、
こんなふうに残されているのが嘘みたい」

「注目されずに放置されたまま時だけが過ぎたんだ。
歴史の標本みたいな劇場かもしれない。
-もうすぐ開演だよ、携帯はオフにした?」

「気分はオフだけど・・・」


こうして独自の雰囲気に包まれた会場で、
ほどなくベートーヴェンの三重奏が始まった。




Théâtre des Bouffes du Nord (ブッフ・ド・ノール座)
1876年パリ10区に建てられた劇場。経営不振から1952年に閉鎖。
1974年にはPeter BrookとMicheline Rozan指導のもとに生まれ変わるが、
資金難のため内外装はいっさい改装されなかった。
2010年には、Olivier ManteiとOlivier Poubelleが引き継ぎ、現在に至る。




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ホテルに滞在するか、誰かの住まいに招待されないかぎり、
パリで建物の内側にある中庭を見ることは難しい。

ここはHôtel de Brancasという、1710年からある建物の中庭。
当時のディテールがどれほど残っているのかは知る由もないが、
パリにあってこの落ち着いた緑の空間を得られているのは価値がある。

建物そのものには当然そこに住んだ人の考え方や嗜好が反映されがちだが、
「中庭」という存在は、それとは異なるあゆみを感じさせてくれる。


扉を開けて6つの石段を降りる。
数百年の間、どれだけのひとがこの中庭へ降り立ったのだろうか。

主人であった侯爵、その家族、使用人、そして招かれた客人たち。

改修される機会も少ない中庭には、
何かそこに長い時の空気が沈殿しているかのようだ。



古い樹木に話しかける。
しばらくすると微かに枝を揺らし彼は応えてくれた。

「 きみは何処から来たんだ。
もう何年も庭師以外とは話をしていないが、
この老いぼれの木に話しかけてくるとは珍しい客人だ。

ここにいると街の様子はわからないが、
ひとの悲しみや喜びは手に取るようにわかる。

今は平和なのかもしれないが、以前のような
喜怒哀楽はなくなってしまった。
ひとはもっと感情をさらけ出したほうがいい。

いまは振り返らず、前に進むことだ。
時がきたら、またいつかこの場所を訪ねるといい。
その時きみは老人になっているかもしれないが。 」


古い樹木はそう言って、手を振るかわりに
枝の間から心地よい風をおくってくれた。


中庭には、おとぎ話がよく似合う。






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2018年 モンパルナスタワーが見えるレンヌ通り。


一見ひと昔前と何も違っていないように見えるが、
店舗や街を歩く人たちの流れは随分と変わった気もする。


道端で煙草を吸っているひとも少なくなった。
思い返すとあちこちのカフェにあったTABACという文字。
いつのまにか何処かへ消えてしまった。
煙草のけむりも自由という枠から排除される、
パリもいまではそういう時代なのだろう。


ピカソ、モディリアーニ、フジタ、ザッキン、シャガールなど
数えきれない画家や彫刻家、芸術を志す人々が住んだモンパルナス。

彼等が集ったカフェや消えつつある面影。
この場所の古き良き時代に憧れるのは自分だけだろうか。


月日は静かに、そして確実に眼の前を通り過ぎていく。





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ポンピドゥーセンターに隣接した目立たない場所に小さな建物がある。
そしてそこには、ひとりの彫刻家がかつて使っていたアトリエが
再現されている。

彫刻家 コンスタンティン・ブランクーシ。
ルーマニア出身の20世紀を生きた彫刻家だ。

一切の虚飾を捨て去り、一体のフォルムに凝縮させた彫刻。
その研ぎ澄まされた感覚で刻まれた抽象作品は、
私たちに多くのメッセージを投げかけてくれる。


若き日の彼はロダン工房に一旦身をおくものの
「大樹の陰では何も育たない」という考えから、
すぐに独自の道を歩むことを選んだ。



ほんとうに現実的なものは、
事物の外から見えるかたちではなく、
そのなかにひそむ本質である。
この真理を出発点とするかぎり、
もはや事実の表面だけを真似ることで
現実を表現することなど、
誰にとっても不可能なことである。

-コンスタンティン・ブランクーシ-



もののなかにひそむ本質。

アトリエに残る数多くの作品には
その答えが散りばめられている。

そしてそれらの作品が放つ音階は、
いつまでも私たちの中に響き続ける。



※コンスタンティン・ブランクーシ
(Constantin Brâncuşi, 1876年2月19日 - 1957年3月16日)





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