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 【No.217】鳥の眼  2019/06/23 (Sun)
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ドローンで撮られた空中からの映像は
私たちの視覚では捉えることのできない
素晴らしい画像を提供してくれる

「鳥の眼」は人としての憧れである

もし自分が空を飛べて
自らの眼でいろんな対象を見る事ができたら
それはどんなに感動的なことだろう


1783年 空気より軽い気体を大きな風船に詰め込んだ
「熱気球」で初めて有人飛行に成功した
フランスのモンゴルフィエ兄弟


彼らはその時「鳥の眼」を得たと確信したに違いない


230年以上経過した今
私たちは進化した飛ぶカメラを使い
更なる「鳥の眼」に近づけたのだろうか

残念ながらそれは「レンズの眼」を通した映像で
私たちが自由に空を飛び 見た映像ではない


あと200年後にはそれも可能になるだろうか


未来の博物館には
「200年前 まだ私たちが自由に空中を移動できなかった頃
こんな玩具を使った映像を見るしかありませんでした」
そんなドローンの展示があるかもしれない




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印刷屋
そんな言葉を聞かなくなった

昔は「○○印刷」という店が
かならず街の何処かにあって
チラシや名刺なんかを作っていた


その昔は活版印刷というのがあり
小さな活字ハンコを沢山組み合わせて
印刷を行なっていた

その後は技術も様変わりし
オフセット印刷の時代へ

そして今ではデジタル印刷が
普通の時代となった


形のある印刷から
形のない印刷の時代へ


写真も同じ運命をたどっているが
何故か形のあるものに惹かれていく

それは使い込まれた鉄の塊に
汗や魂が染み込んでいるからだろうか


時代の波に呑みこまれながら
消えゆくものたち


その煌めきは記憶のなかに生き続けている





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暮れかかる街にシャボン玉が飛ぶ
虹色の光が目の前を通過する


Un deux trois

一つめは過ぎ去った想い出

二つめはまだ見ぬ夢

三つめは・・・
声を出さずこころに想い浮かべる


それはあっという間に
何処かへ消えていった





 【No.214】記憶の糸  2019/06/02 (Sun)
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自分の記憶をどこまで辿れるだろうか
それはひとによって様々だろうが
そのとき感じた感触や瞳に映った光景は
数十年が経った今も記憶の引き出しに仕舞われている


高校時代の親友から何年かぶりに連絡をもらった

数ヵ月前に父親が亡くなったこと
自分の新しい仕事のこと
もうすぐ引越しをすること

それらは近況報告として
いろんな苦労を感じさせることばかりだった

ひととおり話終えたあと
友人から意外な誘いがあった

それはまだ何年か先のことだけど
と前置きをして
定年をむかえたら一緒にフランス料理を食べに行きたい
自分がご馳走したいというものだった

その店の名前は確かに聞き覚えのある店だった
どうしてそんなことを思い立ったのか
皆目見当もつかなかったが
友人はかなり前から考えていたらしい


「はじめて自分の就職が決まったとき、
お前にご馳走してもらったのを覚えてるか。
同じ店で今度は俺がお前の何年か後の
定年祝いにご馳走をしたいんだ。」


記憶の糸が解かれていく

数十年も前の光景が脳裏をよぎる
まだ社会人として駆け出しの頃だった

かなり背伸びをして
当時腕を振るっていたシェフのフランス料理店へ
ふたりで出かけた


そのときどんな話をしたのか
料理がどうだったのか
今となっては記憶もあいまいだが
ふたりとも満足して
互いの将来について話し込んだ気がする


そんな忘れかけていた記憶に
お礼がしたいと言ってくれた友

そのことがただ嬉しかった
気恥かしさの底に熱い何かを感じた


あの頃も同じ紫陽花の季節だった





 【No.213】三姉妹  2019/05/27 (Mon)
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それはまだ王様がいた頃のお話

王妃には三姉妹の女官が仕えていました

長女の女官は責任感が強く歌が得意でした

次女の女官はもの静かで人見知りでした

三女の女官はとても勝気で負けず嫌いでした


ある寒い朝のこと

城を大勢の敵が取り囲みました

王妃は三姉妹の女官たちに共に逃げるよう伝えます

長女はすぐさま身仕度を整えました

次女も長女に従い僅かな荷物をまとめました

三女だけは城に残ると言い張り聞き入れませんでした

時が経ちやがて敵が城へ攻め入ると

長女の女官は王妃にこう伝えます

王妃さま ここでお別れです

もう時間がありません すぐさまお逃げください

私たちはここへ残ります

王妃は他の女官たちを連れて城外へと向かいました



それから三姉妹の女官たちがどうなったのか

行方を知るひとは誰もいませんでした


数年後


街の片隅に小さな料理店が開店します

そこには三姉妹の姿がありました

料理は次女 提供は三女 経営は長女の役割でした

あるとき長女はふたりに言いました

あのとき一緒に逃げていたら今頃どうなっていたかねえ

王妃共々皆が捕まって牢獄へ入れられたそうよ

次女が答えました

あのとき三人で調理場へ行って隠れたから生き延びたのよ

人に焼かれる前に自分たちからオーブンに入ったんだから

三女は自慢気に言いました




三姉妹のその後を伝えるものは何もありません

ただ店は残された家族により代々引き継がれ

店の奥には三姉妹の人形が飾られていました





 【No.212】終着駅  2019/05/23 (Thu)
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起点があればそこには必ず終点がある

途中どんな素晴らしい経験をしようと

遠ざかる景色をただじっと見ていようと

列車はいつしか終着駅へとたどり着く

朝に下車した学生

夕暮れに乗り込んだ老夫婦

長い旅では乗り合う人たちも入れかわる

そして終着駅では誰もが席をあとにする



ひとは幾度こうして旅に向かうのか

新たな出会いを求め

時の揺りかごに乗って



Gare Saint-Lazare / paris





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うつむくきみの

なきそうなきみの

うなずくきみの

ほほえむきみの

そらをみるきみの

すべてをこころに

うつしとれたら





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安らぎを得たいなら
この花に話しかけるといい

誠実な気持ちを受けとめる白い花は
こころに憩いを差しだしてくれる

「真珠」を意味するギリシア語の
Margarites(マルガリテス)が語源という
Marguerite(マーガレット)


もどれない月日を振り返るとき

白い宝石の囁きと共に





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1903年から続く自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」

毎年7月 その季節は訪れる

個人総合成績1位の選手に与えられる栄誉こそ

黄色のリーダージャージ「マイヨ・ジョーヌ」だ



パリ6区 季節を前に

ヴァヴァン通りに登場したマイヨ・ジョーヌは

母親に手を引かれ 遅れ気味だった






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悲しみに沈んだとき

こころを受けとめる空がある

歓喜に包まれたとき

想いを伝える空がある



バスティーユの空は

何処までも高く





 【No.207】sérénade  2019/04/26 (Fri)
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大聖堂は優しく微笑んでいた

「きみの瞳に映るものに永遠はない」

紅い実の向こう側で
そう暗示していたのだろうか


この世から消えることがないもの

それはこころに灯る信仰や
希望という願いだけなのかもしれない




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百貨店とは何か
それは小さな夢を集めて売る場所

気に入ったものに囲まれた生活を想像させ
人々を現実から夢の世界へと誘う

1852年 パリ セーブル通り24番地に
ヨーロッパで初の百貨店が誕生した
「ル・ボン・マルシェ」である


それまで沢山の店を渡り歩き
買い物をしていた人々にとって
この博覧会のような場所で買い物することは
こころを躍らされたに違いない

当初は大衆相手の販売が目的であったが
時代の流れは高級ブランド品をも
取りこんでいくようになる


167年が経過した今も
その店は敷地や外装こそ変われど
途絶えることなく私たちに夢を売り続けている

「感動と驚きに満ちた特別な場所でありたい 」

そう告知されているル・ボン・マルシェの願い


セーブル通り24番地
それは夢を買いに訪れるべき
価値ある場所かもしれない



※1984年、LVMHグループが百貨店を買収。
1989年、店名はAu Bon Marché から Le Bon Marché に改名されている。






 【No.205】Together  2019/04/14 (Sun)
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いっしょに行こう
そう言われて
いっしょには行かなかった

あのとき手をつなぎ
いっしょに歩き始めていたら
いまとは違う自分がいた


旅にはいくつかの
分かれ道がある

振りかえらずに歩いた年月


ふと立ち止まると
あの頃見た風景が蘇る


海から吹く風が
今は恋しい





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駅から少し歩いた住宅街に
そのカフェはある


ガラスに囲まれた店内には
いつもレコードのBGMが流れ
カウンターには小さなガラスの器に
小花が飾られている

曲は女性店主の好みなのか
ユーミンや山下達郎が多い

静かな空間で珈琲も美味しい




あるとき店主にレコードについて
尋ねてみた

レコードを繰り返しかけるのって
大変ではないですか?

店主はさらりとスマートにこう応えた


レコードの音って疲れないんですよね


女性店主からは
無理をしない
何か自然体の美しさが感じられた


疲れない音
自分にはその意味が
少しわかるような気がした


道端でクローバーが
微笑むように揺れていた





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モンパルナスにある彫刻家が残したアトリエ
それは39年の間 作家夫妻の住まいでもあった
いまは美術館として公開されている

オシップ・ザッキン

1967年 77歳でその幕を閉じた
ロシア出身の彫刻家だ


彼がパリで結婚したのは30歳のとき
近くに住むアルジェリア出身の女性画家との
出会いだった

その際 ふたりの証人になったのは
共にエコール・ド・パリの道を歩み
親交の深かった画家 藤田嗣治である


春 彼の庭には
友を懐しむかのように
桜が咲く

作品が手を掲げる先
仄かな色づきが哀愁を誘って





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1656年から1659年にかけて現在のパリ マレ地区に
ひとつの建物が建てられた。

Hôtel Salé(オテル・サレ)。
塩の館と呼ばれるその建物はいまピカソ美術館として
公開されている。

展示室の最上階にある窓から外の景色を見つめると、
そこにはこの建物が建てられた当時の空気感が感じられる。

外の景色といっても
1659年当時の景色がここから見えるはずもないが、
この窓から射し込む光と、外に見える街の空気感は
360年前の何かを伝えてくれる気がした。

その時代とリンクするのは
パリから北東へ470kmに位置するデルフトで
絵画を描いていた画家フェルメールだ。

ヨハネス・フェルメールが生きたとされるのは
1632年から1675年。
まさにこの建物が建てられた時代に
数少ないフェルメール絵画が制作されている。

同じヨーロッパであっても場所が違う、
偶然同時代に存在しただけだ。
という見方もあるだろう。


ただ自分には
この窓から射し込む光が不思議と
フェルメールの描いた光と共通した何かを
感じずにはいられなかった。


もしこの場所でフェルメールが絵を描いていたら、
また違う作品が生まれていたかもしれない。
そんなありえない想像も浮かんだ。





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これから何処へ行くの


淡い恋の終わりは
束の間の夢から現実へと連れもどす



橋から見つめる3月のセーヌ
誰もが穏やかな風を感じていた






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フランスで発明され広まった「写真」を固定する技術

カメラは自分が生まれる前からあったが
自分がこの道具に出会ってからも
数十年という月日が経った

思い返すとその間に何台ものカメラと出会い
それぞれに違う想いが残っている

一時期はカメラそのものへの
所有欲にとらわれて入手し
実際にはあまり使わなかったカメラもある


フィルムからデジタルへ移行したことで
カメラも余儀なく変わることになった



ただ不思議なもので
残された写真を見るとその時どんなカメラや
レンズで撮ったのか情景がうかぶのは
フィルムカメラで撮影したものばかりだ

デジタルの便利さは言うまでもないが
一枚の重さを感じるのは
フィルム写真かもしれない


残されたフィルムカメラは未だ手元にあり
いつの日か使われることを夢に見て
眠り続けている




※このブログもNo.200となり
ふと身近なカメラについて記してみました
デジタルは進化の一途をたどっていますが
これから先どんなカメラが登場するのでしょうか
記録や表現の道具として使われるカメラ
例えどんな進化したものが現れても
そこに求められるのは私たちそれぞれの
感性なのかもしれません



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パリに滞在する際は
この近くのホテルを定宿にしていることもあり
自分にとって最も馴染みのある教会が
サン・シュルピス教会だ

完成されたのは1745年だが
災害や戦争で何度か大きな修復を経ている

ふたつの大きな塔がシンボルとなり
遠方からもその位置がよく確認できる
大きさではパリでノートルダム大聖堂に続き
二番目に大きな教会だ


今更ながらこのブログを始める際に
ふと思いついたのがこの教会名で
そこからAuthor名をいただいた

もう何年も前の話だが
パリでタクシーを利用した際に
何度言ってもこの「サン・シュルピス」という
名前が通じなかった
発音では「サン・スルピス」という発音に近く
単語ひとつで言語の難しさを知らされた経験がある


滞在中は何度もこの建物の前を通るので
あらためて撮影することは少なかったが
先日の滞在で夕暮れ時が印象的だったのを撮影した


3月 日曜の午前
ホテルに差し込む光に教会の鐘の音が響く





 【No.198】君の義務  2019/02/27 (Wed)
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アメデオ・モディリアーニは語った。

「君の義務は自分自身を犠牲にしてしまうことなどではない。
君の本当の義務は君の夢を守ることなのだ。」


どれほどのひとが、夢に希望を抱いているだろうか。
どれほどのひとが、自身の夢に向き合えているだろうか。
それは年齢とともに薄まってはいないか。

どんな些細なことでもいい。
ひとに話すのをためらうような夢でもいい。
もう先が見えていると感じるときでもいい。


夢を守りたい。





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